介護と医業
1990年代後半から、ホームヘルプサービスの従業者(介護福祉士やホームヘルパーなど)が慢性疾患の患者に対して業務上の介護をするとき、どこまでが医業の範囲として禁止され、どこからが介護の範囲として認められるのかという議論がある。この議論は、
* 在宅の筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 患者に対して、家族が頻繁に痰の吸引を行い続けることは大きな負担であり、
* しかし、その家族の負担を和らげるには訪問看護のサービス量が不足しており、
* 一方で、気管内吸引が医療行為に該当するか否かが明確でない、
という理由から提起された。
これに対して、ALS患者の吸引は「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」(医政発第0717001号、2003年7月17日)として、ALS以外の在宅療養患者や身体障害者の吸引は「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いについて」(医政発第0324006号、2005年3月24日)として、それぞれ厚生労働省医政局長から各都道府県知事へ通知されている。これらの通知では、痰の吸引は医療行為であるとの見解を示しつつ、医師でも家族でもない第三者(「家族以外の者」)が、医師などの指導などの条件下で吸引を行うことは「当面やむを得ない措置」としている。しかし一方で、これら吸引はホームヘルプサービスの業務として行われるものではないとも指摘されている。
また、2004年10月21日、厚生労働省は盲学校・聾学校・養護学校の教員による重い障害をもつ児童への「たん吸引」、「経管栄養」、「導尿」について一定の条件下で認める通達を出した。
このような状況が生じる原因の1つとしては、医師法によって医師以外が医業を行うことが禁止されているにもかかわらず、医業の範囲がまったく示されていないことが挙げられる。その意味では、医業の範囲を示すことによる根本的な解決はされていない。
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